山岳エリアの奥地という設置場所は、サインにとって非常に過酷な環境です。
市街地のように頻繁なメンテナンスは期待できず、厳しい風雪にも長期間耐えうる強度が求められます。
前回ご紹介した利用者向け満空表示サインの設計において、私たちはこの「耐久性」と「メンテナンス性」という課題に、長年の経験で培った技術とノウハウで応えました。
工夫①:メンテナンスを前提とした「開く看板」
サインの内部には、表示を制御するための電子機器が収納されています。万が一のトラブルやメンテナンスの際に、作業が困難であっては意味がありません。
そこで私たちは、サインの前面全体が扉のように大きく開く構造を設計しました。
これにより、内部の機器に容易にアクセスでき、高所での危険な作業を伴うことなく、安全かつ迅速なメンテナンスが可能になります。
工夫②:素材の徹底的なこだわり
長期間、美しい表示と安全性を保つため、部材の選定には一切妥協しませんでした。
- 本体:錆びにくく耐久性の高いステンレス板金を採用しました。
- 支柱:一般的な鉄骨よりもはるかに錆に強い「溶融亜鉛めっき」を施した鋼材を使用しました。
- 表示面:屋外用インクジェットシートの中でも、耐候年数が最高クラス(7年)の製品を選定しました。紫外線や雨風による色褪せや劣化を長期間防ぎます。
これらの工夫は、見た目にはわからない部分かもしれません。
しかし、こうした細部へのこだわりこそが、過酷な環境下での長期的な安定稼働を実現し、お客様の「安心」に繋がると私たちは信じています。

しかし、この案件の挑戦は技術面だけではありませんでした。
次回【Vol.3】では、厳しい条件の中、弊社がこの案件を受注できた理由と、プロジェクト成功の裏にあった施工会社との連携についてお話しします。


